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産業用太陽光発電

農地転用で太陽光発電を設置するには

 遊休地に太陽光発電を設置する際に、忘れてはならないのが『農地法』の存在です。 日本は土地の希少価値が高いため農地法をはじめ様々な法律により土地の利用規制があり、複雑な手続きが必要です。知らず知らずのうちでも、農地法に違反した場合の罰則は重く、刑事告発をされた場合は3 年以下の懲役又は3 0 0 万円以下の罰金(法人の場合1 億円)、「許可の取り消し」「許可条件の変更、新設」「工事等の停止命令」「原状回復その他違反是正命令」を受けることとなります。

1. 農地の定義とは

農地か否かは現況主義。

 太陽光発電の設置をご検討されている土地が、「農地」に該当するかどうかを農業委員会に確認する必要があります。農地法上の農地とは、耕作の目的に供される土地のことをいい、登記簿の地目によらず土地の現況により決まります。 趣味の園芸の範囲は農地に含まれませんが、現在は耕作されていなくても耕作しようとすればいつでも耕作できる土地は農地に含まれます。また、仮に田畑として利用をしていなくても、書類上では「農地」として扱われている可能性があります。不動産登記簿の「地目」が「田/畑」と記載されている場合も当然「農地」となります。

2. 農地転用とは

許可・届出が必要。

 農地転用とは、「農地を農地以外に利用すること」です。現在、国の農業保護政策により、無断で農地を農地以外の目的に利用することができません。農地以外に利用したい場合には、農地転用の許可・届出が必要です。

3. 農地法4条、5条

農地の所有者自らが自分のために転用を行う場合は農地法4条の許可が必要です。

 (法第4条第1項)“ 農地を農地以外のものにする者は、都道府県知事の許可(その者が同一の事業の目的に供するため4haを超える農地を農地以外のものにする場合(農村地域工業等導入促進法その他の地域の開発又は整備に関する法律で政令で定めるもの(以下「地域整備法」という。)の定めるところにしたがって農地を農地以外のものにする場合を除く。)には、農林水産大臣の許可)を受けなければならない。 ”

転用を目的に農地を買ったり借りたりする場合・・・農地法5条の許可が必要です。

 (法第5条第1項)“農地を農地以外のものにするため又は採草放牧地を採草放牧地以外のもの(農地を除く。)にするため、これらの土地について法第3条第1項本文に掲げる権利を設定し、又は移転する場合には、当事者が都道府県知事の許可(これらの権利を取得する者が同一の事業の目的に供するため4haを超える農地又はその農地と併せて採草放牧地について権利を取得する場合(地域整備法の定めるところにしたがってこれらの権利を取得する場合を除く。)には、農林水産大臣の許可)を受けなければならない。
(法第5条第3項で準用する法第3条第7項) この許可を受けないでした行為は、その効力を生じない。 ”

農地法 許可が必要な場合 許可申請者 許可権者
第4条 自分の農地を転用する場合 転用を行う者(農地所有者) 都道府県知事
農地が4haを超える場合は
農林水産大臣(地域整備法に基づく場合を除く)
第5条 事業者等が農地を買って転用する場合 売主(農地所有者)
買主(転用事業者)

※農地が4haを超える場合は、農林水産大臣の許可、それ以外は知事の許可になります。

4. 届出と許可申請

 農地が都市計画法による「市街化区域」に該当するか「市街化調整区域」に該当するかで農地転用の手続きが変わります。
転用しようとする農地が市街化区域にある場合には農地転用の届出をします。 転用しようとする農地が市街化調整区域にある場合には農地転用の許可申請をします。 市街化区域は、農地法による農地転用・転用目的権利移動については農業委員会への事前の届出で行うことができます。都道府県知事・農林水産大臣の許可は必要ありません。
市街化調整区域の農地を転用し、そこに建物を建設する場合には、農地転用と同時に「建築許可申請」もしくは「開発許可申請」が必要になります。また、市街化調整区域にはさらに農業振興地域(青地)それ以外(白地)に分かれます。農業振興地域の農地を転用する場合には、事前に農業振興地域の除外申請が必要です。

農地区分及び許可方針(立地基準)
区分 営農条件、市街地化の状況 許可の方針
農用地区域内農地 市町村が定める農業振興地域整備計画において農用地区域とされた区域内の農地 原則不許可(農振法第10条第3項の農用地利用計画において指定された用途の場合等に許可) ×
甲種農地 第1種農地の条件を満たす農地であって、市街化調整区域内の土地改良事業等の対象となった農地(8年以内)等特に良好な営農条件を備えている農地 原則不許可(土地収用法第26条の告示に係る事業の場合等に許可) ×
第1種農地 10ha以上の規模の一団の農地、土地改良事業等の対象となった農地等良好な営農条件を備えている農地 原則不許可(土地収用法対象事業の用に供する場合等に許可) ×
第2種農地 鉄道の駅が500m以内にある等市街地化が見込まれる農地又は生産性の低い小集団の農地 周辺の他の土地に立地することができない場合等は許可 ○
第3種農地 鉄道の駅が300m以内にある等の市街地の区域又は市街地化の傾向が著しい区域にある農地 原則許可 ○

農地転用手続きの流れ

例(自治体により知事の業務を農業委員会が行うことがあります)
農地転用手続きの流れ 4ha以下 都道府県知事の許可の場合
  • 申請書提出・・・(申請者から農業委員会へ)
  • 意見書を付して送付・・・(農業委員会から知事へ)
  • 意見聴取・・・(知事から県農業会議へ)
  • 意見提出・・・(県農業会議から知事へ)
  • ※2haを超え4ha以下の場合は農林水産大臣(地方農政局長等)と協議
  • 許可通知・・・(知事から申請者へ)
農地転用手続きの流れ  4haを超えるもの農林水産大臣(地方農政局長等)の許可
  • 申請書提出・・・(申請者から知事へ)
  • 意見書を付して送付・・・(知事から大臣へ)
  • 許可通知・・・(大臣から申請者へ)
農業委員会への届け出(市街化区域内農地の転用)
  • 届出書提出・・・(提出者から農業委員会へ)
  • 受理通知・・・(農業委員会から届出者へ)

5. 必要な書類

手続きには少なくとも以下の書類が必要となります。
  • 法人にあっては、定款(寄付行為)及び法人の登記事項証明書
  • 申請に係る土地の登記事項証明書
  • 申請に係る土地の地番を表示する図面
  • 転用候補地の位置及び附近の状況を示す図面(縮尺50,000分1~10,000分の1程度)
  • 転用候補地に建設しようとする建物または施設の面積、位置および施設間の距離を表示する図面(縮尺500分1~2,000分の1程度)
  • 転用事業を実施するために必要な資力及び信用があることを証する書面
  • 所有権以外の権原に基づく申請の場合には、所有者の同意書
  • 耕作者がいるときは、耕作者の同意書
  • 転用に関連して他法令の許認可等を了している場合には、その旨を証する書面
  • 申請に係る農地が土地改良区の地区内にある場合には、当該土地改良区の意見書
  • 転用事業に関連して取水または排水につき、水利権者、漁業権者その他関係権利者の同意を得ている場合には、その旨を証する書面
  • その他参考となるべき書類

6. 農地法の制限・違反

農地法違反には重大な罰則

 農地転用の手続きをせず農地法違反が発覚した場合、工事の中止命令などの行政処分を受けます。工事の進捗具合に関係なく、工事中止命令で工事は中断・太陽光発電システムの撤去命令・原状回復などの義務が生じますので金銭的にも多くの損失が発生します。また、農地を転用するには様々な規制があり、転用には多くの手続きが必要となります。10kW以上の産業用太陽光発電をご検討の際はくれぐれもご注意ください。

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